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旅の瞬発力。

6月12日 インドはデリーへ飛ぶ。旅の再出発だ。
2年半ぶりに帰ってきた日本はたった3ヶ月の滞在だった。当初の予定では半年ぐらいだったけど、そこまでもたなかった。どうしてかと言うと、とても「中途半端」だったのだ。仕事をしてお金を貯めるだけならいいかもしれないけど、自分の気力も覚束ないし、マッサージの仕事だけでは思うように貯金ができない。昼間のいい仕事が見つからない。そして、久しぶりの親元での暮らし。思えば、社会人になってからは親元を離れて東京に住んでいることが多く、その後親と一緒に暮らしたのは7年前の約1年間だけ。うちの親は特別うるさくないし、どちらかと言えば久しぶりの娘の存在に喜び、よくしてくれた。でも私の気持ちだけがしっくりこなかった・・・。突然のこの「ぬるさ」に溶け込めなかった。

旅中の暮らしから日本での便利な生活にすぐに順応したと思った。確かにそういう面もあったけど、どちらかというと、明日のことも分からず自由気まま、その時その時の行動、アンテナを立ててギリギリに生きてたあの頃とは違う。スリルはないし、何もかもが楽だし、ぬるい。それが日本の良さなのかもしれないけど、日本につまらなさを感じた。日本の生活も捉え方次第で楽しいものになるのは分かっているけど、この「一時帰国」のどっちつかずの自分が単純に嫌だった。
そして、その反面、日本での生活にちゃんと戻りたいという自分の気持ちにも気づいた。親や友達、家、日本語、テレビ、お風呂、本。日本にいれば好きなことができる。もちろん旅中もできるけど、材料や環境は一番であるに違いないと思う。私は日本人なのだ。
日本の生活に戻りたい。でも旅はまだ完結していない。”南米に行っていないから”という理由もあるけど、たぶん自分の精神状態の理由が大きく関わっていると思う。若いうちしかできないことだし、極端に言うと”今”しか出来ない。私はいずれ結婚したいし、子供も欲しい。だけど、老後では遅すぎる。体力も精神力も衰えるし、老後こそ日本での生活が理想なんじゃないかと思う。
日本で落ち着いた生活をしたい、旅にも出たい。だからこそ早めに旅を終えようと思った。中途半端な半年より中途半端な3ヶ月だ。
ただひとつ言えることは、この一時帰国は正解だったってこと。

うだうだ悩んでた。親を裏切ってまた旅に出る罪悪感、一度のんびりしてしまったので旅意欲が薄れているかもしれないとの疑問、また旅に出る意味について。そして、いい加減な対応のお店ではあったけど、一応社会というものに一時的に復帰した。客サービスを通しての人間不信、しがらみ、怒り。親とのしがらみ。旅中は本当に悩みなんてほとんどなかったのに、日本に帰って来た途端、膿んだのだ。イライラし、悩んだ。そして暗くなる自分にも嫌気を感じて堂々巡り。
どれだけ旅中は非現実的であったかを実感した。人との出会いは一時的なことが多いし、その土地が嫌であれば去ればいいという自由さ。旅から発見したことは多いけど、見失ったこともあるんだろうと思う。そして、日本も同様だ。発見も見失ったことも両方ある。今回の帰国は悩むことが多かったけど、いい学びとなったと思う。帰国後の自分の変化にもよく気がついたし、日本でのリアルな生活について一時的にしろ腰を下ろす事ができたし、考えることができた。よかった。

さて、旅に再び出る理由について。
そう言えば、最初の出発の時も考えた。長旅についてさほど経験のなかった私が考えたのは、
”見たいものは見たい、知りたいものは知りたい、行きたいところには行きたい”
好奇心旺盛で、先の心配をしない、向こう見ずな私は単純にこう思った。

アジア、ヨーロッパ、アフリカを見て、一通り「旅」というものは終わったのかもしれない。観光名所を見て、人に出会い、だまされ、盗まれ、異国情緒を感じ、非現実感を味わう。
旅をしているうちにある一種の感情が消えていった。それは観光意欲。遺跡や寺院、教会。何箇所か見ているうちに全部同じに見えてきた。または、旅人の経過。みんな同じことをしているように見える。ガイドブックや旅人の情報のままに人形のように動き、同じ感想を話す。そしてたまには自己顕示力のために話を聞かせる人。旅なんて全く興味がないんじゃないかっていうような怠惰な人。日本にいても海外にいても一緒なんじゃない?っていう人。自分の旅の仕方が正しいわけでは決してないけど、周りを見ているうちに「何かが違う」という気持ちが確かにあった。(もちろん、人の振り見て我が身を直したことも多くある。)
そしてその旅はすでに終わった。そう思い始めてから旅は変わっていたし、次も違うスタンスで旅をしたいと思う。今までの私の中での一般的な旅スタイルは終了していて、次は次の理想スタイルが存在する。

思う。旅にはっきりとした理由、動機なんてない。ただ直感がGOサイン出してる。申し訳ないけど、本当それが答え。理由はあるにはあるけど、堂々と言えるような内容でもないし、他人からしてみれば「引き換えに得るのは何?」と疑問を持たれると思う。気づけば、私は7年計画で旅を考えていることになる。26歳から32歳まで旅のために生きている。明確でなく、精神的な内容が多い旅の理由は世間から認められるのだろうかと思う。

旅に出ても本当の自分は見つからないと思うし、(自分がクリアーにリアルになることはあると思う。)旅が親切にうまい方向に導いてくれるとは思えない。これを言ってしまったらおしまいかもしれないけど、要は自分なのだ。本当に目的を持った人なら旅に出てそれを得ようとは考えないだろうと思うし、出たとしてもそう長くは続かないと思う。旅欲はある一種の「逃げ」の気持ちが潜んでいるのを認めざるえない。日本のしがらみや現実からの逃避。現に今回の再出発の動機にもそれは潜んでる。でもこの逃げでさえも原動力なのだ。何かを変えたいという願いは例え逃げから出た理由であるとしても、「きっかけ&タイミング」。そして逃げるとしても日本に帰ったら2倍のつらさを感じるのを予想した上での覚悟も多分にある。

2年半の旅は本当に良かった。後悔なんて全くしていない。そして、次の旅も同じく良いものになるだろうと期待するし、そうあって欲しいと願う。中毒でもあるんだろうな。”良かったからこそまた良いに違いない”って期待しちゃうんだろう。そして、前の旅で満足できなかった面がまだあるからこそまた旅に出たいのかもしれない。人との出会いについて納得いくまで自分自身が動いてみたい。精神力をもっと鍛えたい。もっと知らないことを知りたい。ゼロの生活感から得たいものがある。人から学びたいことがある。決まった価値観や意識集団から離れて、新たな意識で見直してみたい。

もっとはっきりした事柄で言うと、山に登りたい、自然をもっと知りたい。(トレッキング)
ヨガ、マッサージ(ヒーリング全般)を勉強したい。
再び大地の大きさを自分の足で実感したい。(アフリカのあの大きさは苦労したけど、今となっては上手に足跡をつけてきたな~って思う。)
あの無心にまったりと風景を楽しむのは快感!だ。(バス移動)

旅で何を得た?
旅って単に本当に人生の一部で、世界一周したからって大きく何かが変わるわけじゃない。過大評価は混乱を生むと思う。そして頭で考えることでもないと思う。整理としては必要だけど、旅は経験。
私は旅を通して未来と過去にこだわりがなくなったかなと思う。ごく自然にそうなってた。いきあたりばったりの旅中では過去を振り返ってばかりいてもしょうがないし、未来の計画ばかり立てていたらつまらない(むしろ計画通りに進むことなんて滅多にない。)瞬間瞬間を生きてた。しかも意識せずにいつの間にか。自分の目で見る。自分の好奇心から歩みよる。世間一般的な考えや今までの自分の常識からじゃなくて、「自分の目線」で物事を見つめられるようになった。前向きになった。選択さえも無意識にいいものを選ぶようになった。

必要、不必要なものが何かをおぼろげながらも分かってきた。物が豊かであれば贅沢にもなるし、貧しくてもないならないなりの生活ができる。人間は適応できると思うし、習慣が固定観念を作っていると思う。もちろん必要なものはたくさんある。だけど不必要なものを捨てるかどうかの考えすら放棄している人が多いと思う。
2年半も家がなく、自分の枕がない生活。いつもどこにいるのか分からない夢を見る。最初こそ不安だったけど、慣れてしまえば逆に心地よかった。どこに流れるか分からないとても不安的な状態だけど、逆に言うとどこにも流れていい環境なのだ。

自分はどこまでが自分であるかということに気がついた。二手に分かれた道を選択する時の基準材料、立ち止まったときの自分の反応と判断、どんなものに感動し、怒り、驚くか。そう、自分のリアルさを再発見した。環境が様々に変わる中で自分の変化も手に取るように見えてきたのだ。日本での生活のように生ぬるくない。毎日が同じじゃない。だから常に自分の反応も変わるし、言動も変わる。それがすごいおもしろい。

自然。これ以上に感動したものはないと思う。キナバル山の神聖な空気、異空間の美。カイラスの偉大さ、人と山との深い絆の印。キリマンジャロの声にならない美しさ、無、神秘。そして知らず知らずのうちに強いエネルギーを与えてくれた日食。どれも言葉ではうまく表現できないけど、自分の内に吸収できた”何か”を得た。すごくいい思い出。本当に人生のハイライトだと思う。

答えはひとつじゃない。
目的はひとつじゃない。
何年も前からずっと思ってた。私は自分が納得いくまでできるところまでやるって。
思いっきりやること、自分自身を完全燃焼すること。熱くいようと。単純だけど、これが私のポリシーなのだ。
でも、もし嫌になったら帰ってこようと思う。帰ってくるのも勇気だし、あきらめも勇気だと思う。そしてその判断ができるのは唯一私なので、気が済むまでやってみようと思う。
これからもよろしくどうぞ!!!
by mayupura | 2007-05-31 22:13 | 旅で思ふ。

せかい旅をした時の記録と河口湖にあるカフェとリラクゼーションサロンの話など日常を綴る。


by mayupura
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